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さらに『脱原発2.0』 〔不破利晴〕

     

さようなら原発 1000万人アクション

Photo by : 不破利晴

 

 東日本大震災から4年。
 原発被害を被ったすべての人に『脱原発2.0』を捧げます。

 『脱原発2.0』とは脱原発原理主義であることを最初にお断りしておきます。
 世の中には原発についての数値を右に左に操作して、”コスト”や”リスク”に見合っているということで再稼動を認める頭の良い方もおりますし、代替エネルギーが確立するまでの橋渡しとして比較的最近になって建造された原発は稼動しても良いといった、一見もっともな考えの方もおられます。

 しかし、私はそのような意見にはすべて「NO」を表明したいと思います。脱原発原理主義ですので、すべての原発稼動には反対の立場を表明したいと思います。要するに、私は原発というものをひとくくりに捉えているのです。

 日本国内に存在する50基もの原発をひとくくりに考えるのは、いささか乱暴に映るかもしれません。ひと口に原発といっても新しいものもあり古いものもあり、また技術的にもそれぞれ特性もあるでしょう。しかし、どの原発もひとくくりにして構わない理由が実はあるのです。今回はその辺のことも踏まえて話をさせていただきます。

 東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故から4年が経ちました。政府はなかば強引に事故収束宣言をしましたが、福島原発は今も放射線を出し続け、周辺住民がいつになったらもとの生活を取り戻すことができるのか、予測すらできないありさまです。

 この事故をきっかけに、私たちは原発とはシステム全体で考えなくてはならないことを知りました。つまり、単なる発電技術や発電コストに留まらず、上流工程の「燃料の調達」、そして下流工程の「燃料の処分」といったことまで、実に幅広い範囲で原発というものを考えてゆかなければならないということです。それらがすべて統合されて始めて「原発技術」が形成されていると言えましょう。これには異存ありますまい。

 今回の原発事故であらたな焦点として浮かび上がったのが原発の上流工程、すなわち、原発燃料であるウラン採掘によるウラン鉱山の汚染、そして鉱山労働者の被爆の問題です。 今までこのことは関係国によって隠蔽されてきた経緯がありますが、燃料調達ひとつをとっても、原発の危険性が如実に表れています。実際にアメリカやオーストラリア、そしてインドなどで多くの被害事例が報告されています。これらに対し関係国はどのように対応しているのでしょうか。甚だ心許ないと言うしかありません。

 《ウランという元素の主成分は質量数238 のウランであり、放射性である。その半減期は地球の年齢とほぼ同じの45 億年で、アルファ線を放出して崩壊する。

 ウランが崩壊して生まれたプロトアクチニウムが放射性、その崩壊で生まれたトリウムもまた放射性というように、原子核が崩壊して生み出された新たな原子核がまた放射性である。最後に鉛となって安定な原子核になるまで、途中ラジウム、ラドンなど特異な危険性を持つ原子核を含め合計14 種類の放射性核種に次々と姿を変える。そうしてできる一連の放射性核種を「ウラン系列」と呼ぶ。

 もともとウランは地底に眠っていた資源であるが、それを地表に引きずり出してきてしまえば、それら多様な放射性物質から被曝を受けることになる。

 ウランとその娘核種は放射性で、それがある限りα線、β線、γ線を放出する。また、娘核種のうちラドンは化学的に言うと希ガスに属し完全な気体であるため、空気中に逃げ
出してくる。

 したがって、住民が被曝する経路は、
 ①鉱滓池や野ざらしにされている残土に近づくことによるγ線被曝、
 ②汚染された水などを通してウランを体内に取り込むことによる内部被曝、
 ③空気中のラドンを吸入することによる内部被曝の3 種類である。》
~小出裕章『インド、ジャドゥゴダ・ウラン鉱山の放射能汚染と課題』~

 さらに、それ以上に問題となっているのが原発の下流工程、「燃料の処分」の問題です。俗に「原発はトイレのないマンション」などと言われますが、これは原発の特性をよく言い当てています。

 日本に限らず、世界は核燃料の処分を一体どうするつもりなのでしょうか?

 六ヶ所村のことを思い出してください。六ヶ所村の再処理施設では細々と再処理を進めているようですが、それだけでは全然処理が追いつきませんし、そもそもこの施設は完成もしていません。だいたい完成したような状態で、かろうじて操業しているに過ぎません。この施設は文字通り”再処理”施設であって、使用済み燃料を処分する施設ではありません。端的に言って、世界は使用済み燃料を処分する技術すら確立していないのです。このことは、原発の技術がそもそも確立していないことを”明確に”意味しています。

 《誰も言わないが、いま日本人全体に脅威となっているのは、再処理の化学処理で取り出される高レベル放射性廃棄物が液体であるため、これの管理に失敗すると、原子炉の大事故を上回る大災害になるという危険性である。

 この事実は、一九七六年七月に、東西ドイツが分裂していた当時、西ドイツのケルン原子炉安全研究所が内務省に極秘レポートを提出し、その内容が翌年暴露されて明らかになった。この「再処理工場の大事故に関する解析」によれば、万一冷却装置が完全に停止すると、爆発によって工場の周囲一〇〇キロメートルの範囲で、全住民が致死量の一〇倍から二〇〇倍の放射能を浴びて即死し、最終的な死亡者の数は、西ドイツ全人口の半分に達する可能性があるとのおそるべき事実を予測していたのである。つまり全国から放射性物質を集めた再処理工場が爆発すれば、原子炉を一〇〇基まとめて爆発させたと同じような、想像を絶する結果になるわけである。

 高レベル放射性廃液は、さきほどから何度も述べているように、放射熱を出し続けるので、冷却し続けねばならない。つまり冷却に失敗すれば、大爆発を起こして、一地方ないし国家そのものを消滅させてしまう危険物である。たとえば六ヶ所村が大地震に襲われて、貯蔵タンクの冷却配管が折れただけで、そのような事態になる。加えて二〇〇八年に、変動地形学の渡辺満久教授が現地の地形をくわしく調べたところ、マグニチュード八.〇を超える大地震のおそれが高いことが明らかになった。》
~広瀬隆『原子炉時限爆弾 大地震におびえる日本列島』~

 私たちの社会的常識では、中途半端な技術は絶対に世に出してはならないことになっているはずです。なぜなら、多くの犠牲者を出してしまうからです。社会に甚大なる被害を及ぼすからです。
 例えば、企業の新人教育などでも仕事をきっちりとクローズ(終了)させる重要性を叩き込みます。私もそのように教わってきましたし、これは東京電力でも決して例外ではないはずです。

 しかしながら、いざ原発となると技術がクローズしていないのにも関わらず乱暴に稼動させてしまう。このようなダブルスタンダードを私たちは詭弁と呼びます。そして、現実に大きな事故が起こり、「私たち」がその被害を被っている。原発のリスクは最終的に社会全体が負うことになるのです。また、現在の原発は、重大事故に対しての対応策も実は確立されていなかったことはもう一つの重要なポイントです。私が「どの原発もひとくくりにして構わない」と主張する理由もこの辺にあります。

 つまり、原発は早すぎたのです。一定の技術が確立した上で世に出すべきだったのです。そう言わざるを得ない。今の状況が何よりの証拠です。

 最後になりましたが、上述した六ヶ所村の再処理施設は3000トンもの使用済み燃料を受け入れることができますが、現地の巨大プールは許容量の3000トンで既に埋め尽くされていることを付言して、このエントリーを終了させていただきます。

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