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NHKスペシャル 知られざる放射能汚染 ~海からの緊急報告~ 〔不破利晴〕

     

東京湾の汚染

 2012年1月の東京新聞に、私の投稿が掲載されたことがある。
 タイトル「国への不信募るばかり」は新聞社サイドでつけたものだが、内容はと言えば2012年1月15日に放映されたNHKスペシャルについてである。

 民放各社はまるで東日本大震災などなかったかのように、連日阿呆な番組を並べ立てている。その中でNHKは非常に健闘していると言って良い。
 特に15日の「知られざる放射能汚染 ~海からの緊急報告~」は、 今の日本が最も求めている番組、最も観るべき番組だったのではないだろうか。私は番組終了後、直ちにパソコンに向かった。すぐにでも東京新聞に掲載して欲しかったからだ。もし見逃した人がいたならば、友人知人に録画した者がいないが尋ねてみて欲しい。そんな願いであった。

国への不信募るばかり

 十五日に放映されたNHKスペシャル「海からの緊急報告」は、まさに今の日本人が観るべき番組であった。番組は、福島原発沖から東京湾にかけての海に焦点を当て、主に魚と海底土壌の放射線量を綿密に調査した。

 予想通り、福島沖は放射線が高い数値を示したが、見逃してはならないのは茨城沖にも同様の高い数値を示すホットスポットがあったことだ。

 そして、東京湾も例外ではなかった。江戸川河口付近にも、福島沖に匹敵するほどのホットスポットが確認されたのだ。東京湾は約二年後に汚染が頂点を迎え、その後十年は汚染が継続するとの計算結果に体が凍りつく思いである。

 政府による「事故収束宣言」がいかに詭弁であったかを、この番組により再確認した。この過酷な状況について、私たちに何ができるのだろうか。
 政府はとても信用できないという確信だけが募ってゆく。

 3.11により制御不能となった東電福島第1原発は、大量の放射線を含む汚染水を太平洋に向けて放出している。当初、政府与党はこれらの汚染水は海流による拡散のため安全なレベルまでに無害化するとの見方を発表したのだが、それままったくのところ甘い見方だったと言わざるを得ない。

 福島原発から放出された放射線は泥と結びつき、実は近海の海底に泥と共に堆積していたのである。付近の海底からは非常に高い数値の放射線が測定されている。放射線は全く拡散されてはいなかった。

 さらに問題は魚介類に及ぶ。海底の泥の中には多くのゴカイが生息しており、これらは泥を食べて生きている。そして、ゴカイはヒラメを始めとする海底魚の餌になっているため、食物連鎖からこれらの魚類から非常に高い放射線が検出されているのだ。

 現在、福島原発付近では魚介類から出る放射線のため、漁がまったくできない状態が続いているが、番組の調査によれば少なくとも今後2年半は経過を見守る必要があるという。具体的な日程が示されたのは初めてで、その間いわば失業状態となる地元の漁師の生活は誰が補償するのかという大問題がここで浮上したことになる。 さらに、このような魚介類の汚染は福島原発付近に留まらず、そこを中心に広く汚染が顕在化する可能性を示唆するに十分であると言える。私たちは放射線に汚染された魚介類を、既に口にしてしまっている可能性が非常に高い。

 東京湾の汚染は人々を震撼させるに余りある。なぜ江戸川河口付近にホットスポットが出現したかというと、これまで都内に拡散していた放射線が江戸川に集中したためだ。つまり、福島原発から放射線は関東地区にも降り注ぎ、それは半年以上の期間を経て雨などにより徐々に河川へと流されてくる。最終的には河川の吹き溜まりのような場所がホットスポットへと変貌を遂げていくわけだ。

 驚くべきは、江戸川河口付近は福島原発沖と同程度の高い放射線が検出されていることだ。それはあたかも食物連鎖のごとく、微量な放射線でも一箇所に集中すれば取り返しがつかなくなることを如実に物語っている。東京湾は約2年後に汚染の頂点を迎え、その後10年間は汚染状態が継続するとの試算結果がある。 悲観的な見方をすれば、福島から茨城、千葉、そして東京にいたる漁業は、今後10年の間に完全に破壊してしまうのではなかろうか。

 政府与党がこのような海への調査にまるで及び腰であることに怒りを禁じえない。おそらくは、現在の悲惨な状況を理解した上で、そうであるが故に責任を次世代に先送りしていると思われる。今や日本の政府与党は、国民を皆殺しにする亡国の使途と言う外ない。

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