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AIIBは、安倍政権3度目の【神風】である 〔北野幸伯〕

     

China-flagアメリカと同盟関係にある欧州諸国、オーストラリア、韓国などが、続々と参加を決めた、

中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)。

主要国で参加を見送っているのは、アメリカと日本の二カ国のみです。

「欧州、オーストラリア、韓国がアメリカを裏切って中国側についた」

この事実は、重く受け止める必要があります。

しかし、RPE読者の皆さんは、驚かなかったでしょう。

なぜなら、「そういう流れになっている」こと、読者の皆さんは10年前から知っていたからです。

アメリカはどのように衰退してきたのか?

ここ25年の動きをまとめてみました。

まだの方は、こちらを参考になさってください。

http://diamond.jp/articles/-/69203
●パワーシフト~欧州が米国を捨て、中国についた日


こういうトレンドがあることは確か。

しかし、だからといって、私は「日本も急いでAIIBに入れ!」とはいいません。

逆に、

「AIIBに参加しないことは、安倍政権3度目の【神風】になる可能性がある」

と考えています。

「え?

3度目の神風ということは、いままでに2回『神風』があったの?」

と不思議に思われたことでしょう。


まず、そこから解説していきます。

第1の神風 = クリミア併合

だいぶ長期政権になってきた安倍内閣。

しかし、いつも順風満帆だったわけではありません。

最初の危機は、2013年末から14年初に起こりました。

それが、2013年12月26日の靖国参拝です。

これ、「反対したのは中韓だけ」と思っていませんか?

しかし、現実は違っていました。

実際は、中韓だけでなく、アメリカ、イギリス、EU、ロシア、オーストラリア、台湾、シンガポールなどなど、

それこそ、「世界中が」といっていいほど、ひろく激しく批判されていたのです。

当時の反応を見てみましょう。

・2013年12月26日、安倍総理の靖国参拝について、米国大使館が「失望した」と声明を発表。

・アメリカ国務省も「失望した」と、同様の声明を発表。

・英「ファイナンシャル・タイムズ」(電子版)は、安倍総理が「右翼の大義実現」に動き出したとの見方を示す。

・欧州連合(EU)のアシュトン外相は、(参拝について)「日本と近隣諸国との緊張緩和に建設的ではない」と批判。

・ロシア外務省は、「このような行動には、遺憾の意を抱かざるを得ない」「国際世論と異なる偏った第2次大戦の評価を日本社会に押し付ける一部勢力の試みが強まっている」と声明。

・台湾外交部は、「歴史を忘れず、日本政府と政治家は史実を正視して歴史の教訓を心に刻み、近隣国や国民感情を傷つけるような行為をしてはならない」と厳しく批判。

・12月27日、米「ニューヨーク・タイムズ」、社説「日本の危険なナショナリズム」を掲載。

・12月28日、米「ワシントン・ポスト」は、「挑発的な行為であり、安倍首相の国際的な立場と日本の安全をさらに弱める」と批判。

・同日、オーストラリア有力紙「オーストラリアン」は、社説で「日本のオウンゴール」「自ら招いた外交的失点」と指摘。

・12月30日、米「ウォール・ストリート・ジャーナル」、「安倍首相の靖国参拝は日本の軍国主義復活という幻影を自国の軍事力拡張の口実に使ってきた中国指導部への贈り物だ」。

(つまり、「日本で軍国主義が復活している」という、中国の主張の信憑性を裏付けた)

・同日、ロシアのラブロフ外相は、「ロシアの立場は中国と完全に一致する」「誤った歴史観を正すよう促す」と語る。


これを読んで、「反対しているのは、中韓だけだよね~」というのは、明らかに「現実逃避」といえるでしょう。

2014年2月、特にアメリカで「反安倍」の機運はますます強まっていました。

そして、「消費税引き上げ後景気が悪化するので、それを利用して安倍を首にしようという計画がある」という話を、あちこちで聞くようになりました。
(複数の筋から聞きましたが、ホントかどうか確証はありません。)

しかし、結果的に安倍総理は救われました。

なぜ?

2014年3月、ロシアがクリミアを併合した。

アメリカは激怒し、欧州と日本を巻き込んでロシアに「経済制裁」を課す必要がでてきた。

それで、靖国問題は、沈静化したのです。

「クリミア併合」。

これは、まさに安倍総理に吹いた「神風」でした。

第2の神風 = 原油価格暴落

次の危機は、「消費税増税」と関係しています。

これで、安倍人気一番の理由だった、「アベノミクス」効果が相殺された。

こちらをごらんください。

<実質GDP、年率6.8%減 4~6月期は2四半期ぶりマイナス
SankeiBiz 8月14日(木)8時15分配信

内閣府が13日発表した2014年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.7%減、このペースが1年間続くと仮定した年率換算で6.8%減となった。

消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が響いた。

下げ幅は前回の消費税増税時の1997年4~6月期の3.5%減を上回り、東日本大震災の影響で景気が落ち込んだ11年1~3月期の6.9%減以来の大きさとなった。>

消費税増税による景気の落ち込みは、「東日本大震災直後並」だったのです。

確かに、アベノミクスは、消費税引き上げ前のような強烈なパワーはありません。
(@内閣府によると、2014年のGDP成長率は、名目1.6%、実質は0%)

しかし、安倍内閣が崩壊するほどひどい状況にもなっていない。

なぜでしょうか?

その大きな理由の一つが、「原油価格の暴落」です。

たとえば北海ブレントの価格は、2014年6月時点でバレル115ドルだった。

それが、2015年初には50ドルを割り込んでいます。(現在は60ドル近辺)

これが、「消費税増税ショック」を和らげているのです。

円安になるとどうなりますか?

そう輸入品の価格が上がりますね。

中でもエネルギー価格の値上がりは深刻で、それが日本の貿易赤字を増大させる大きな原因になっていた。

ところが、原油価格が大暴落したことで、円安のネガティブ面が相殺された。

これが、安倍内閣に吹いた「第2の神風」でした。

第3の神風 = AIIB

2度の神風でピンチを乗り切った安倍総理。

しかし、一時も油断することはできません。

終戦70年にあたる今年。

中国は、「反日統一戦線」を再構築しようと、攻勢を強めています。

前回は、「靖国」がプロパガンダのネタでしたが、今年は、「安倍談話」と「憲法改正」がターゲットです。

(●中国、驚愕の対日戦略については、こちらをご一読ください。

http://diamond.jp/articles/-/66110/ )


そういえば、私がとても尊敬している青山繁晴先生は「アンカー」最終回でこんな話をしておられました。

<「政権中枢によると、『アメリカの与党・民主党が激烈なんだ。安倍総理の議会演説で、村山談話と同じような「侵略戦争への強い反省」を必ず入れろとか、議員によっては、南京大虐殺や慰安婦問題にも触れて反省を述べろとか、無茶を言ってくる。かつてない強硬な圧力なんだよ』」>

この時点で、アメリカ民主党政権は、またもや「中国、韓国の側についていたこと」がわかります。

しかし、ここで【第3の神風】が吹きました。

それがAIIB事件。

3月12日、イギリスが、アメリカの要請を無視し、AIIBへの参加を決めた。

そして、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、韓国などが、続々と裏切った。

これは、アメリカにとって大いなる衝撃だったことでしょう。

しかし、日本だけはアメリカ側についたのです。

これはよいことです。

なぜか?

結局、尖閣・沖縄を狙う中国、対日戦略の最重要課題は、「日本とアメリカを分裂させること」。

日米同盟が機能していたら、尖閣も沖縄も奪えませんから。

だから、米中の立場が一致している、「歴史問題」を掘り起こし、「米中共闘体制」をつくろうとしている。

そして、その戦略は、かなり成功していたのです。

(例、小泉総理は6回靖国に参拝したが、批判したのは中韓だけだった。しかし、安倍総理が1回参拝すると、世界的バッシングが起こった。これは中国のプロパガンダが成功している証拠である。)

しかし、大きな問題は、「より大きな問題」が起こったとき、消されてしまいます。

靖国参拝後の「クリミア併合」もそう。

今回は、欧州、オーストラリア、韓国がアメリカを裏切って中国についた「AIIB事件」がそうです。

これで、アメリカにとって日本は、「唯一裏切らなかった国」というステイタスになってしまった。

まさにAIIBは、安倍さんにとって「3度目の神風」になったのです。

しかし、総理は神風を「正しく利用」しなければなりません。

どうやって?

4月29日の議会演説で、中韓のプロパガンダを粉砕し、アメリカをがっちり味方につけることです。

どうやって演説すればいい?


それは、こちらを参考になさってください。

http://archive.mag2.com/0000012950/20150409171216000.html

【安倍総理必読】★アメリカをがっちり味方にする議会演説のやり方

(@議会演説草案、総理官邸にも送っておきました。)


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 北野 幸伯

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