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政府方針を超えた鳩山クリミア訪問は自主独立の烽火 〔一水会〕

     

鳩山由紀夫@クリミアIntroduction: 三月十日、ロシアへの帰属から一年を迎えたクリミアに、鳩山由紀夫(元首相)、芳賀大輔(鳩山由紀夫秘書)、高野孟(ジャーナリスト)、池田剛久(スマートジャパン総合研究所)、木村三浩(一水会代表)の総勢五名の代表団が訪問した。とくに鳩山氏の訪問はG7(先進七カ国)の首脳経験者としては世界で初めてとなるクリミアへの訪問であった。

 今回の訪問は、国内外のメディアでも大きく報じられた。当初日本政府は、鳩山氏の秘書に対して訪問中止を要請した。「首相経験者としては極めて軽率である」(菅義偉官房長官)、「力による現状変更を認める事になり、国際社会に誤解をもたらす事になる」(高村正彦・自民党副総裁)といった理由を述べて騒ぎ立て、訪問自粛の圧力をかけた。
 
 しかし、鳩山氏はウクライナ政変で冷却した日ロ関係を打開し、北方領土問題解決の糸口を探るため、クリミアの現状視察を実施した。これは、欧米に追従した日本政府の対ロ経済制裁を適切とするか否かへの問いになる。
 
 日本政府はただただ対米盲従しているだけでよいのか。「北方領土を不当に占拠しているロシアは敵国であり、日本はその声を聞く必要はない」という冷戦思考から未だ抜け出せない米国のネオコンの発想に寄り添っているだけだ。冷戦崩壊後、イラク侵略など、軍産複合体による、戦争広告代理店を使嗾したでっち上げ戦争が相次いでいる。狡猾な米国の情報戦略にひれ伏した政府・メディア・民間団体などが、鳩山氏に同調圧力をかけたのである。
 
 一水会では昨年からのウクライナ危機、クリミアのロシア帰属に至るいきさつを検証・分析するため、二度に亘ってクリミア訪問団を派遣している。そして今回の鳩山氏の訪問には木村三浩代表も同行している。
 この、実に歴史的快挙ともいえる鳩山氏のクリミア訪問のいきさつ・意義などについて、本紙は木村代表に聞いた。

「日本国民は洗脳されている」――欧米偏重の報道について

 これまでの日本の外交は、「一枚腰」で行われていました。外交とは外務省の官僚が決めたルールに沿ったものであり、一本の道しかありませんでした。しかし、国際社会では「二枚腰」「三枚腰」を活用する外交は常識なのです。それだけ情報を得られるし、相手も子供を扱うように一方的な話で御せないと思うからです。
 外交とは国益を守る事を前提にしますが、様々な角度からのアプローチが存在します。決して一本道ではありません。多角的な解決法を持つのが一流の外交国であると言えます。
 
 例えば、ジミー・カーター氏は米大統領退任後、アラブ和平や北朝鮮やキューバとの外交改善に尽力してきました。フランスも外交的には米国との同盟関係を保ちながら、米国と対立する国家への独自の外交路線を採っており、ゴーリズムのドゴールはその最たる人物でした。
 
 しかし、日本人は島国に生きるためか、こうした発想が得意ではありません。国際的に日本の外交が稚拙とされるのは、「一枚腰」への固執から抜けられていないからでしょう。
 その意味では、鳩山氏のクリミア訪問は、やっと国際基準の外交になったと評価できますが、これを継続していく力量をつけねばなりません。
 
 戦後、日本には情報機関は存在していません。自分の目、足、手を使い、現地へ赴いて情報を入手する能力や、情報を分析する能力を国家として育てる事がありませんでした。
 情報入手や分析は米国に依存しています。これでは米国の意思に従うだけです。自分で判断し、行動する――こうした基本的な能力は戦後、日本人に欠けてしまった。
 
 過去の北方領土交渉において、日ソ間の交渉に米国国務長官ダレスが介入し、日本政府が一歩引いてしまった出来事がありました。有名な「ダレスの恫喝」の逸話ですが、米国から何か言われれば、日本人は萎縮してしまいます。この様に、政府の主導する「一枚腰」外交では、日本が独自に動ける事はありません。
 戦後日本の外交史から振り返って今回の訪問を評価するならば、「対米従属意識から脱却する、日本外交の転換点」と言えるかもしれません。
 
 記者会見で鳩山氏は、「日本の国民は、間違った情報に洗脳されてしまっている」と述べています。この洗脳、という表現を使ったのは、あまりにも欧米中心のものの見方からくる、偏向された情報の洪水に歯止めをかけなければならない、というつもりで語ったのです。この作業は容易ではない――と、対米従属の意識が政治家だけでなく、国民にも植え付けられていると、述べられています。
 
 そのような対米従属意識――つまりは戦後占領体制と言えます――に洗脳された人間、すなわち米国の意に反する行為が「日本の国益を損なう」と信じている人間にとっては、鳩山氏はまさに異質――「宇宙人」に見えるかもしれません。
 もっとも、その様な異質な人間だからこそ、戦後日本の実情を見極める事ができたと言えます。
 

[記事引用:一水会 機関紙『月刊 レコンキスタ』平成27年4月1日 第431号]
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