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あらためて思い知る憲法9条の精神の崇高さ 〔天木直人〕

     

天木直人 もうすぐまた8月がやってくる。

 今年は終戦70周年であり、歴史認識をめぐるさまざまな特集記事が組まれることだろう。

 その一つが原爆投下に関するものだ。

 その先駆けとして、きょう7月30日の毎日新聞と朝日新聞が書いた。

 毎日新聞のそれは「被爆者治療セズ」と言う題名の連載記事の第一回である。

 「被爆70年の今年、毎日新聞が入手した資料や証言から、研究の最前線にあった米原爆傷害調査委員会(ABCC)をめぐる暗部を追った」という鳴り物入りの前置きで書かれたその記事は、被爆者治療を人命救済ではなく、冷戦下の政治的目的で人体実験として行ったという事実を弾劾する記事だ。

 朝日新聞の記事は、原爆の製造・投下につながった「マンハッタン計画」の跡地(ニューメキシコ州ロスアラモスおよびテネシー州オークリッジ)の国立公園化計画に関する記事だ。

 「歴史の見せ方」についての加害者と被害者の立場の違いをどう克服するかという問題提起の記事である。

 このことは日本の原爆記念館に関する議論にもつながる。

 広島原爆記念館については、あやまちは繰り返しませんという事ばかりが強調される一方で、米国への糾弾があまりにも欠如しているのではないかという意見もある。

 戦争責任の糾弾と言えば、中国や韓国の対日批判だ。

 南京大虐殺や慰安婦問題への責任追及は、毎年のように繰り返される政治問題として残り続ける。

 私が広島・長崎の被爆体験は、米国のみならず、すべての核保有国に対する最強のカードであると書いたのは、その非人道さはナチのホロコーストに匹敵すると思うからだ。

 そして、イスラエルはこのホロコーストカードを国策として未来永劫切り続ける。

 こう書いていけば、あたかも私が日本も他国と同じように、もっと自らの原爆犠牲を強調して日本だけが悪いわけではないと攻勢に出ろと、安倍首相とそのお友達のようなことを言い出したように聞こえるだろう。

 しかし、ここで私が言いたいのはその逆である。

 あらゆる非人道的な犠牲は戦争のなせる悪である。

 戦争でもたらされたあらゆる非人道的な行為を批判し合っても何もならない。

 重要な事は和解である。

 そのためには、それらすべての悲惨さをもたらした戦争を二度と起こさないと決意することである。

 それが憲法9条の精神だ。核心だ。

 それを有した日本こそ、世界に向けて和解を最も強く訴えられる国である。

 憲法9条の精神を実践して和解を提唱する限り、それを拒否できる国はどこにもない。

 これに気づき、それを誠実に実践した時、日本は国際政治の中で最強の立場に立てることがわかる。

 敗戦と引き換えに手に入れたこの崇高な憲法9条の精神をかなぐり捨てて、再び日本を戦争の出来る国にしようとしている安倍政権と、それを支持する者たちがいかに愚かであるかがわかる。

 憲法9条を捨てたその瞬間から、日本は国際政治における永遠の敗北者となる(了)

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