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「一水会」が極めて重要な提言をしている 〔不破利晴〕

     

一水会

一水会が提言した内容とは?

 2015年1月24日に開催された「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」の設立集会については、呼びかけ人の一人でもある「一水会」[http://www.issuikai.jp/] の代表、木村三浩氏に挨拶する機会を得た。

 一水会について、私は多くを語る資格はないが、例えばインターネットなどでその名を調べれば、民族派の右翼団体であり、新右翼とも称され、左翼との言論活動も活発に行っているとある。私もこれまでYouTubeなどでその活動の一端を垣間見ることがあったが、当初の予想とは裏腹に、聞きごたえのある充実した論戦が展開されていた。そういった意味で、代表の木村三浩氏、そして顧問の鈴木邦男氏については少なからず関心を抱いていた。

 そんなこともあり、私はすかさず名刺を持って木村代表に挨拶させていただいたのだが、後日、一水会事務局からメールをいただいた。内容は一水会の機関紙『レコンキスタ』を送らせて欲しいとのこと。私はありがたくその申し出に応じたのである。

 「レコンキスタ」は、見た目と大きさは新聞紙の体裁を整えている8ページ程の月刊誌である。[http://yahoo.jp/box/h2a_lo]
 送っていただいた2月1日号の1面トップは、安倍政権に対し「建国記念日」の政府祝賀式典を実現せよ、といった記事であったが、それはそれとして、私が俄然注目したのは1面下段に記載された、当時の舛添要一・東京都知事に対する一水会からの「公開質問状」に関する記事である。

 木村三浩代表は2015年1月27日に東京都庁を訪れ、都知事宛に質問状を手交(手渡し)したのである。質問状は長文により構成されているが、その要旨は次なるものであった。

 一、東京都知事として、横田空域問題をどのように考えているか。

 一、東京五輪開催に合わせ横田基地の軍民共用使用についてどのように考えているか。

 一、東京都知事として、横田基地返還問題をどのように考えているか。

 以上の3点である。

 ざらっと読んでしまえば、要するに米軍横田基地をどうするつもりか? といった趣旨なのだなと理解し、そこで終わってしまいがちだが、実はこの中に極めて重要な問題が記されている。

 それは言うまでもなく、最初の「横田空域問題」についての記述である。

 つまり、木村代表は2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックを区切りとし、首都圏に横たわる空域問題をどうするのかと、質問状の形で都知事に突きつけているのだ。
 この問題は既存のテレビや新聞といったメディアでは絶対取り上げない、取り上げられない内容である。これをまともに取り上げれば、社長のクビでは済まなくなるだろう。それを一水会は提言していたのだ。 

なぜ横田空域問題がそれほど重要なのか?

 なぜ横田空域問題がそれほど重要なのかと言えば、日本という国家の独立と主権に関わる問題だからである。というと、形式的で仰々しく感じられるかもしれないので、端的に言ってしまうと、日本の首都圏の制空権は完全に米軍に牛耳られているからである。

 先進国、いや先進国でなくとも、戦後70年にわたり首都に他国の軍隊が駐留し、しかも制空権は他国の軍隊に握られ、そこを民間機が飛行したい場合はいちいち他国の軍隊にお伺いを立てねばならない国家など、世界広しと言えども日本以外に存在しないのである。

 この厳然たる「事実」が日本を他国、すなわちアメリカの植民地と言わせしめる元凶となっている。

 レコンキスタにはこのように書かれている(一部引用)

 《しかし、「五輪の主催都市として恥ずかしい」というならば、実はヘイトスピーチより、もっと重大な問題があることを貴殿は御存知だろうか。「横田ラプコン(RAPCON:Radar Approach Control)」と呼ばれる航空管制空域問題である。

 日本名を「横田進入管制区」(略称「横田空域」)と呼ばれる、首都圏一都八県(東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)に及ぶ広大な空域のことで、ここの航空管制は米空軍の横田基地にあり、民間航空機であっても、この空域を飛行する場合は、米軍による航空管制を受けねばならないという。無論、許可を受ければ米空軍の管制の元で横田空域を飛行することは可能だが、許可が下りるかどうかは無保証であり、一便ごとに毎日許可を申請することは非現実的であるため、羽田や成田を離発着する民間航空機は、ほぼ全便が迂回する経路を取らざるを得ず、これが羽田・成田両航空路の混雑を生み出し、航空機同士がニアミスを起こす危険な原因の一つともなっている。

 すなわち、戦後七十年が経っても、日本国首都東京の空は、日本の主権下に置かれていない空域があるのが現実なのである。》

 上記、レコンキスタに書かれていることは寸分もなく、全くその通りと言う他なく、私もこれまで何度もこの問題については触れてきた。

 上述した一都八県の上空5000~7000メートルにかけては、民間機が立ち入ることができない。よって、羽田や成田を飛び立った旅客機が大阪や沖縄などの西日本方面へ向かう場合、一度千葉県の房総半島上空を飛行し、そこから不自然な急旋回と急上昇をすることにより横田ラプコン上空を飛行する空路を取らざるを得なくなっているのが現状だ。

 報道されることはないが、このことは首都圏に存在する羽田や成田空港の、弾力的な運用を著しく阻害する最大の原因にもなっている。もし仮に、横田ラプコンがなければ、羽田と成田を融合し、世界に類のないハブ空港を構成することが可能になるのだ。このことは、「人・物・金・情報」が常に日本に集積することを意味している。
 中国がどんなに経済的に成長しようとも、どんなに軍事力を高めようとも、「人・物・金・情報」の集積地には適わないし、無論、その国を攻撃することは自殺行為になりうる。

 すなわち、横田ラプコンの存在は東アジアの中心を日本にシフトさせる障壁となっている(これがアメリカの日本に対する戦略でもあるのだが)
 これを最近の流行り言葉で表現すれば、横田ラプコンは著しく「日本の国益を毀損している」ということになる。この事実を、東京オリンピックの節目の問題として提言した一水会の発想と慧眼に敬意を表したいと思う。

 世間では、東京オリンピックの問題として不釣合いで仰々しい競技場ばかりが報道されているが、そのようなことは瑣末な問題であって、事の本質はもっと別のところに、しかも戦後脈々と存在していることが分かる。現在の日本人がそれを知らずして、オリンピックを向かえ、ただただ楽しんでいるしか能がないとすれば、無様な国家の終焉を迎えるだろう。それは歴史が幾度となく証明している。

 一水会はこの公開質問状を各メディアにも配布し、舛添都知事の見解を明らかにするという。ぜひ、そうしていただきたい。我々はこの問題に対し、熱い視線で見守るだろう。

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